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蜂蜜エッセイ応募作品

これエッセイって言えるの?

美味しいものの好きなくまさん

 

 餃子が食べたいっ、ギョウザが食べたいっ、美味しいぎょうざが、た、べ、た、いっ。
 三回言ってみたけど美味しいものの好きなくまさんは首を縦に振らなかった。なんでって聞くと今ハチミツきらしてるからって申し訳なさそうに頭をかいた。ンじゃ、あたしが買ってきたら作ってくれる?って聞くとそれはそれはうれしそうな顔でじゃあ1キロ入りのを買ってきてっていう。ん?ほんとにそんなにいるのかな? ハチミツ1キロ入りの瓶を大切に抱えて帰ってくるとくまさんは小麦粉をこねて粉だらけになりながら餃子の皮を伸ばしているところだった。よかった、もう少し帰りが遅かったらシロクマになっていたかもしれない。まじめな顔でそうつぶやいたくまさんは、あたしから受け取ったハチミツ1キロ入りの瓶のふたをパカッと開けてぺろぺろとなめ始めた。うっとり。幸せそう。じとーっとみつめていると慌ててクマさんビンを置いて、こほんとせきばらいしながら用意してあったボールを出した。ひき肉が入ってる。醤油に味噌にごま油。刻んだにんにく、しょうがのすりおろし。呪文のように歌うように不思議な調子を付けながらくまさんはハチミツをスプーンにすくってたらーりたらーり一たらし。二たらし。おいしくなーれおいしくなーれ。これが味の決め手だよ。ハチミツが無かったら餃子は作っちゃいけないの。へえ。しらなかった。そんなことも知らなかったの? うん知らなかった。くまさんすごいね。で、1キロ? あとはぼくのおやつ。その日私はたっぷり1キロは餃子を食べたと思う。ジューシーで深い味わい。はちみつは「ほすいせい」があるからね。ほ、す、い、せ、いってなに? ええっと。くまさんはちょっと困った顔をしてよくわかんないって小さな声で答えた。ごめんごめん、何しろおいしいってことだ。そう! 鼻の穴を少しふくらませてくまさんはハチミツの最後の一なめを楽しんだ。
 こんな物語を書いててみたいなって思いながら餃子をつくる私でした。

 

(完)

 

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